診断をつけてもらうことで起きる心の揺れ
「ここの骨と骨の間が狭くなってますね。間にある椎間板も少し飛び出しているようにも見えますし...
状態としてそこまで酷くはないですが、いま出ている症状の原因はこれだと思います。
あなたは《腰椎の椎間板ヘルニア》です」
もし、あなたがこのような診断を受けたとき、どのような気持ちになるでしょうか?
その時の感情や、状況、置かれている環境によって診断を受けた時の心境も、人それぞれ違います。
同じ人でもそのときによって受け取り方が変わることだってあります。
例えば、、、
⚫︎「仕事がつらくて休みがとれたらなぁ」と思っているときだと、その診断結果を理由にして仕事を休めるかも
しれないので、痛みはつらいけどこれで休める!と思うかもしれないし
⚫︎来月、久しぶりに友人と旅行に行く計画を立てているのに、このまま症状が悪化してしまったら、
せっかく楽しみにしていた旅行に行けなるかもしれない…と不案に思うかもしれません。
⚫︎最近、運動不足が続いていたけどなかなか動き出せなかったので、運動をすれば症状が楽になるようだから
これを機に運動を始めれる。診断結果は少し残念だけど、ちょうどよかったかもな
このように状況によって、その人の心境によっても診断の捉え方が変わってきます。
これは、どちらがいいとか、どちらが悪いとかそういう話ではなくて、どちらとも自分を守るためにとった思考や行動です。なので“そのときの”本人にとっては適切な判断だと言えます。
◾️今回このテーマで書かせていただこうと思った理由
上記のように、病院の先生からの診断結果の捉え方は人それぞれで、そこに関してはそれでいいと思います。
僕たちの仕事は、ネガティヴな捉え方をしてしまっている人たちが前向きに「良くなろう」と思っていただけるように、寄り添いそっと背中を押させてもらったり、ポジティブに捉えている方には、暴走しすぎないように二人三脚で歩んでいけるようにサポートをさせていただくことです。
ただ、この捉え方、診断結果の扱い方とでもいうんでしょうか、その方法を間違えてしまうと
例えば、腰椎椎間板ヘルニアのように症状の程度によっては、適切な治療や、運動療法を続けて行なっていれば回復していくような疾患でも、数年、十数年、何十年となかなか治らない慢性疾患になってしまうケースもあります。
【実際にあったケースで説明していきます。】
50代の女性で、保育園でパートタイムで勤務。月曜〜金曜まで週に5日間、毎日6時間ほど勤務しておられる方です。ある時から、特に何をしたわけでもないけれど腰と膝に違和感を感じるようになる。病院に行きたかったが人手も足りていないのもあり、なかなか病院に行ける時間も作れず我慢しながら仕事を続けていたそうです。そのうち、痛みが強くなっていき、いつも通りに体が動かせなくなってきて、いつもなら時間内に終わらせられていた仕事が終わらせられなくなっていた。はじめの内は周囲の人も心配してくれて、仕事を手伝ってくれたり代わりにやってくれたり優しく接してくれていたが、その状態が数ヶ月続くようになると、だんだん周囲から冷ややかな目で見られているように感じてきたそうです。痛いとは言っているけど大袈裟に言ってサボっているんじゃないか?とまで疑われ始めたそうです。
このままだと仕事も思い通りにできないし、周りの人には迷惑をかけるし、つらく当たられるから自分の心ももたない!ということで、無理言って仕事を休ませてもらい整形外科へ診察を受けに。診断の結果その女性は
【脊柱管狭窄症】と【軽度の変形性膝関節症】という診断を受けました。
翌日、その結果を勤めている園に提出。同僚にも周知してもらい、状態が悪化しないように無理をして負担をかけすぎない程度に仕事をするように周囲の方もサポートしてくれるようになったそうです。
🔼いかがでしょうか?実はこう言った話は多くなないですが珍しくもありません。道徳的に気になることもありますが、ここではそれは置いておいて【診断】について書かせていただきますね。
あたりまえのことですが、一般の方は専門的な知識を持っていないので、この女性が長い間痛みを訴えながら仕事をされていること、それによってこちらの仕事が増え負担がかかる日がいつまでも続くことに不満を感じてしまうのも仕方がないのかもしれません。自分が同じような経験をしたことがある方ならそういう気持ちもわかるでしょうが、ほとんどの人がそうじゃないと思います。だから「本当に痛いのか?」というような疑問が生まれ不満を感じるようになるんだと思います。
こういった状況には、医師に診断を受け疾患名をいただくのは有効だと思います。誰しも「医者が言ってるんだから嘘はついていないか」と納得せざるを得ないですから。
ただ。この診断名を付けられるというのは諸刃な部分もあります。
それは、その診断名がずっと脳に記憶(インプット)され続ける危険性があるからです。
これは実は非常に厄介でして、医師に「腰椎へルニア」と言われたから、だから腰が痛いんだ!という思考が頭に染み付いてしまう恐れがあります。
最終的に私は腰のヘルニアがあるからずっと治らない。ずっと腰痛と付き合っていかなければならないんだ!と考えてしまうようになります。この考え方は治療を進めていく上で非常に厄介なもので、この思考を変えていかなければ本来なら改善できるものも改善できなくなってしまうこともあります。
◾️まとめ
医師に診断を受けることで、自分の体がどういう状態なのか、なぜ痛みが改善されないのか!という不安から解放されることもありますが、逆にそれが痛みを慢性化させてしまう場合もあります。
当院でも、患者さんとの問診や触診、経過を診させていただくなかで、違和感を感じたりした時は、病院へ行き診察をしていただくように勧めることもあります。ことらのエゴで患者さんに不利益を与えないためにもその判断は重要なことだと考えています。
間違えてはいけないのは、疾患名を付けられたからといって、一生それと付き合い続けないといけないわけではないということです。
そういう意味でも診断結果の捉え方、扱い方を気を付ける必要があると思っています。

