長期休暇後に起きるリスクが高いです!お子さんの「起立性調節障害(OD)」

[起立性調節障害]とは?
ここ数年、小学生高学年〜中学生(10歳〜16歳くらい)に増えてきている病気です.
男女差は、女の子の方が比較的かかりやすいようです.
いったい、どれくらいの子供達が“起立性調節障害(OD)”に罹患しているかというと、なんとその世代の子供達の「10%」もいるそうです.
「たった10%?」と思われた方もおられるかもしれません.でもよく考えてみてください.10%ということは「10人に1人」です.30人のクラスだとしたらクラスの中の3人はこの”起立性調節障害(OD)”にかかっているということです.1学年が4クラスあるとしたら、1学年に12人も罹患してつらい思いをしている子供達がいるということなんです、、こう考えると多いですよね.あとで詳しい症状については書かせていただきますが、この”起立性調節障害(OD)”にかかってしまい学校へ行けなくなる、つまり「不登校」になってしまう子供達もいます.現在「不登校」の子どものうちの3割くらいがこの病気が原因で学校に通えていない!というデータもあるようです.
[どんな症状があるの?]
・立ちくらみ
・立ち上がった時の気分が悪くなったり失神したりする
・立っていると気分が悪くなる
・入浴したり、嫌なことを見聞きすると気分が悪くなる
・少し動くと動悸、息切れをする
・朝、なかなか起きられす午前中は調子が悪い
・顔が青白い
・食欲が湧かない
・倦怠感があったり、何をやっても疲れやすい
・頭痛がつらい
・乗り物に酔いやすい
・腹痛がある(おへその周辺)
この項目に3つ以上当てはまり、他に考えられる疾患が否定的であれば”起立性調節障害(OD)”の疑いがあります.上記の症状に3つ以上当てはまっているが、まだ病院を受診されていないお子さんがおられましたら、病院での診察をした方がいいかもしれません.
[起立性調節障害のメカニズム]
この疾患は『自律神経』の調節障害によるものだと考えられます.
通常であれば、寝ている間優位になっている「副交感神経(リラックスの神経)」が朝目が覚める時間に合わせてだんだん交感神経が働き出し、起きる時には「交感神経(アクティブの神経)」が優位になるのですが、まずこの段階で副交感神経優位から交感神経優位の状態に上手く切り替えられていません.そのため午前中は副交感神経の方が優位な状態なので、倦怠感があったり、食欲が出なかったり、気分が悪くなったり、、、というような症状がでます.昼以降からだんだんと交感神経が優位になってくるので夕方や夜になると調子が上がってきて元気になります.
こんなややこしいメカニズムなので、家族や周囲の人間が見ると“ただ怠けているようにしか見えない”といった事態になるわけです.

「身体の中での仕組み」を説明させていただくと、、、
朝目が覚めて起き上がるのにまず頭を上げると思います.ついさっきまで横になっていて頭まで血液が流れていた状態が、急に頭を上げることで姿勢の変化と重力の影響で一気に下半身の方へと流れていき一瞬低血圧の状態になります.その後、通常であれば交感神経の働きにより血圧が回復するのですが、”起立性調節障害(OD)”の場合、交感神経が活発化されず、血圧が低下したままになります.身体の中ではこのような状態になっていて、これが原因でさまざまな症状が引き起こされているというわけです.
どうでしょう?ここまではっきりとしたメカニズムがわかると、怠けたりしている病気ではないことがご理解いただけたのではないでしょうか?
[”起立性調節障害(OD)”の治し方]
①運動:ウォーキングやラジオ体操、ストレッチなどがおすすめ.体を動かすことでホルモンが分泌され自律神経が調整され血流の改善などが期待できます
②塩分摂取:起立性調節障害は脱水にも似た症状です.塩分に含まれている「ナトリウム」を摂取し血液量を安定させるようにしましょう.
③水分補給:カフェイン入っていない飲料、水が一番いいですが、夏場はミネラル分が足りない状態になりやすいので麦茶も良いです
④温度調整:②の水分補給と同じで汗のかきすぎで血液量が低下しないように気を付ける.
⑤就寝前の環境:寝る直前まで明るい部屋で過ごさない.蛍光灯の灯り、テレビやスマホの灯りは刺激が強いので副交感神経に切り替わりづらくなります.2時間前ぐらいから暗めの部屋ですごしたり、1時間位以上テレビやスマホを見ないようにしましょう.
⑥起き上がり方:そのまま頭を上げるように起き上がるのではなく、一度横向きになってからゆっくり起き上がる、うつ伏せになってからゆっくりと上体を起こすように起き上がる
⑦周囲の理解を深める:人によっては、なかなか治りづらい病気でもあるので、周囲の人が焦らないことが大切です.”起立性調節障害(OD)”は年齢が増していくにつれ身体機能が発達していくと症状が軽減していく方がほとんどだと言われています.治らない病気ではないので、時間をかけてゆっくり治していくぐらいの気持ちで焦らないようにする、あまり悲観的にならないようにしましょう.
【まとめ】
“起立性調節障害(OD)”は
★10歳〜16歳の女の子に多い自律神経機能の調節に異常によるもの
★気の問題や、単なる“怠け”ではなく、しっかりとしたメカニズムがある
★すぐには治らない、時間がかかることもあるが、年齢を重ねると治っていくもの
★生活リズム、体調管理を意識的に行えば改善していく
★改善のためには周囲の理解が、重要である
夏休みの過ごし方によっては、あなたのお子さんも”起立性調節障害(OD)”になってしまうリスクはあります.
生活リズムを乱しすぎると、自律神経の調節がうまくいかなくなっていきます.週に1度くらいの夜更かしくらいでは大きく乱れませんが、数日続いたり、そういう日が多くなると、お子さんの場合は特に影響を受けやすいので、気を付けるようにしてあげてください.まだまだ暑い日が続きますが、熱中症対策にも気をつけつつ、夏休みが明けたら元気に学校に登校できるようにお子さんのサポートもよろしくお願いします.