前にかがむのがつらい。起きる時に腰が痛い。その原因と効果的なセルフケア

「前に屈もうとすると腰が痛い」
「腰が痛くて布団から起き上がるのがつらい」
「靴下を履く体勢が痛くてとれない」
このような症状にお悩みではありませんか。
当院にも腰痛の悩みを抱えておられる方は
多く、なかでも前に屈もうとする時に
痛くなるというケースは多いです。
腰の痛みがあると上記のような症状に
限らず、日常生活に支障をきたします。
・掃除機をかけている時
・お風呂場の掃除をするとき
・車の乗り降りをするとき
こういった日常のふとした動作で痛みを
感じ、動きに制限がかかることがあります。
いつも痛いわけではないけれど、普段から
通りに身体を動かしていたら、さっきまで
痛くなかったのに突然痛くなるなんて
こともあります。
常に痛いのもつらいですが、日常動作の
なかで突然痛みが走るというのも、
「これをすると痛くなるかな…」と不安を
感じながら、恐るおそる動かすことになり
ストレスが溜まります。
今回の記事では、そういった日常のちょっと
した痛みへの不安のストレスから解放される
ために日頃から気をつけられることなどを
ご紹介します。
⭕️どうして屈むときに腰が痛くなるの?
身体を前に屈めるときには腰だけではなく
背骨や骨盤、股関節なども連動しています。
つまり屈む動作をする時には、腰回りの
筋肉だけではなく背中や骨盤・股関節周り
の筋肉も関係があると考えられます。
◎腰の筋肉に原因がある場合
例えば何らかの理由で腰の筋肉が、ガチガチ
に硬くなっていたり、痛めたりしている場合
屈む動作をする時には筋肉が引き伸ばされます。
硬く伸びきらないゴムを無理やり引っ張る
ような状態になり、限界を迎えた筋肉や
周囲のセンサーが危険を察知して激痛を
出します。それ以上動かして悪化させない
よう、脳が動きを止めようとする防衛反応
によるものです。
◎太ももの裏側の筋肉に原因がある場合
身体を前に屈めるとき、通常は骨盤が
「前に傾く(前傾する)」ことでスムーズな
動きを作ります。
しかし、太ももの裏側の筋肉が硬く
突っ張っていると、骨盤が前に倒れるのを
後ろから引っ張って邪魔してしまいます。
骨盤が動かない分、腰だけで無理に
曲げようとするため、腰の筋肉や関節に
過剰な負担がかかって痛みにつながります。
◎お腹の筋肉に原因がある場合
長時間の座り姿勢、中腰の姿勢での作業
長い期間咳を繰り返している
などのような理由でおなかの筋肉が硬く
なることがあります。
筋肉が硬くなり関節の動きが悪くなると
動作を行うときに筋肉への負担が大きく
なります。その状態が長く続き負担に
耐え切れなくなってしまい、筋肉が傷つき
やがて痛みが引き起こされます。
他にも考えられる理由はありますが、
よくあるパターンとしてこのようなこと
が考えられます。
⭕️こんな症状が出ていると危険
前に屈むときに起こる腰痛の多くは、
筋肉や関節の機能不全によるものですが、
中には重大な病気や神経損傷が隠れている
ケースもあります。
「レッドフラグ(危険信号)」と呼ばれる症状が
ある場合は、自己判断でストレッチなどを続けず、
できるだけ早く医療機関を受診してください。
《脚の強い痺れや麻痺》
・腰から足にかけて強い痺れがある
・足に力が入りにくい
・スリッパが脱げやすい
・つまずきやすい
といった運動麻痺症状がある。
《排尿・排便障害》
・尿が出にくい
・頻尿になる
・便意を感じにくい
・漏れてしまう
といった症状がある。
《安静時痛》
・どんな姿勢をとっても激痛が続く
・横になって休んでいても痛みが引かない。
・焼けるような痛みを感じる。
・発熱や原因不明の体重減少を伴うほどの
痛みが持続する。
・日に日に痛みが増幅していく
このような症状がある場合、脊椎の感染症や
悪性腫瘍などの可能性が考えられます。
すぐにでも医療機関を受診してください。

⭕️腰への負担を減らす身体の使い方
痛みでつらい思いをしなくてもいいように
日頃から身体使い方に意識して腰への負担を
軽減させることをおすすめします。
前に屈むときの腰の負担を減らすには、
腰だけで曲げようとするのではなく、
股関節を折りたたむように腰を曲げるという
身体の使い方をすることが重要です。
腰の骨は構造的に動きが小さい関節です。
一方で、股関節は上半身と下半身の動きの
仲介役でもあるため関節の動きが大きいです。
実は、腰を曲げるときは腰の関節だけで曲げて
いるわけではなくて、背骨や股関節などの動き
も同時に行われています。
腰を丸めて屈もうとすると、腰椎の椎間板や
背中の筋肉に集中的に過度な負担がかかります。
そこで、腰への負担を減らせる動かし方として
股関節を折りたたむように動かしてください。
動きの大きな股関節、おしりや太ももにある
大きな筋肉に負担を分散させることができます。
日常のふとした動作の、具体例をご紹介します。
【靴下を履く・爪を切る時】
NG:背中と腰を丸めて前屈みになり、
手を足元に伸ばす。
OK:イスに座り腰をまっすぐ保ったまま
股関節を折りたたむように上半身を
軽く前に倒します。
【床の物を拾う・掃除機をかける時】
NG:膝を伸ばしたまま腰だけを丸めて前屈みになる
OK:おしりを少し後ろに引くイメージで、
股関節と膝を折り曲げてしゃがみます。上半身を
まっすぐに保ち、床にある荷物を持ち上げます。
【布団から起き上がる時】
NG:仰向けのまま腹筋を使って正面に起き上がる。
OK:一度横向きになり、両膝を軽く曲げて、上半身を
横から起こす。または、片足を軽く曲げて寝返りを
うち、うつ伏せになってから身体を起こします。
⭕️おすすめのストレッチ3つ
1.ジャックナイフストレッチ
骨盤の前傾(前に倒れる動き)を邪魔している
太もも裏の筋肉を効果的に伸ばします。
腰を伸ばしたまま行うことで、腰椎への負担を
避けて太もも裏だけを集中的にケアできます。
[やり方]
・足を肩幅よりやや狭めに開き、膝を深く曲げて
しゃがみます。
・両手で左右のカカトを後ろからしっかり掴み、
胸と太ももをピッタリ密着させます。
・胸と太ももを密着させたまま、おしりを天井に
向けてゆっくり持ち上げていきます。
・太ももの裏側が心地よく伸びるところで止めて
深呼吸しながら30秒キープします。
★ポイント★
膝は完全に伸びきらなくても構いません。
「胸と太ももを離さないこと」を最優先にすると、
腰を痛めずに太もも裏の筋肉が伸びます。

2.おなかのインナーマッスルストレッチ
長時間の座り姿勢などで縮こまり、股関節の連動性を
失わせているおなかの奥の筋肉を伸ばします。
[やり方]
・床に片膝をつき、反対の足を前に出して大きく
一歩踏み出します(前後の脚の幅を広めにとります)
・上半身を起こし、両手を前側の膝の上に乗せます。
・息を吐きながら、骨盤あたりを前方に押し出す
ように重心を前に移動させていきます。
・後ろ側の足の「股関節の付け根〜太もも前側」が
伸びているのを感じたら、30秒キープします。
★ポイント★
・上半身が前に倒れる、背中が丸くなってる、
腰を反らしすぎるといった姿勢にならないよう
注意しましょう。
・後ろ側の足の膝が床につけていて痛い場合は、
折りたたんだタオルなどを置いてください。

3.キャット&カウ
背中や骨盤の動きをスムーズにし、腰の負担を分散させます。
[やり方]
・四つんバイの姿勢になります
→手は肩の真下に、膝は股関節の真下にくるように。
・キャット:息を吐きながら、おへそを覗き込むように
背中全体を丸めていきます。手で床を軽く押し、
肩甲骨の間の背骨を天井に向かって押し出すイメージ。
・カウ:息を吸いながら、腰と骨盤を少し反らせるように
倒し、目線が斜め前を見るように顔を上げます。
※この「丸める」「反らせる」動きをゆっくり呼吸に
合わせて5回繰り返します。

⭕️さいごに
「前に屈むと腰が痛い」という症状は、
腰だけの問題ではなく、股関節や太もも、おなかなど
身体全体の筋肉のバランスや連動性が関係しています。
日常のふとした動作のときの身体の使い方を意識して
変えて腰への負担を軽減したり、
セルフストレッチを習慣にして、腰に蓄積された負担を
軽減させることで、突然の痛みへの不安も和らぎます。
しかし、
「ストレッチを試してもなかなか痛みが変わらない」
という場合は、セルフケアだけでは対処できない
関節の歪みや筋肉や神経などの損傷を起こしている
可能性があります。
そのような場合は、症状が悪化してしまう前に
お近くの医療機関を受診することをおすすめします。
先述したような、危険な症状は出ていないけれど
ストレッチを続けていても、なかなか改善しない痛みや
お悩みがありましたら、そのまま放置せずに、
いつでもお気軽にご相談ください。
この記事が、腰の痛みでつらい毎日を送られている
皆さまにとって、健康で快適な生活を取り戻す
きっかけとなれば幸いです。
動画でも、ストレッチを紹介していますので
お時間のある時に、ご覧ください。
▶︎ジャックナイフストレッチ
https://youtube.com/shorts/m8EPaeM-28A

[国家資格保有]柔道整復師
院長:近藤 俊介 監修