【上腕二頭筋長頭腱炎】物を持ち上げようとした時や椅子を引いた時に腕が痛くなる。考えられる原因と改善のために気を付けるべきこと

「服を着ようとした時に肩の前面がズキッとする」
「床に置いてある物を拾おうと持ち上げた時にズキっと痛みが走った」
「椅子の背もたれを掴み、後ろに引いた時に痛くなる」
このような痛みがあると、日常生活の何気ない動作で痛みが出るので辛いですよね。
何かをやって痛めた!という記憶もなく、なぜか急に痛くなってきた。
そのように痛くなった原因がわからない状態で日常生活を過ごしているうちに、
どんどん痛みが悪化していき、腕を動かしたり、物を持ったりすることが
できなくなるんじゃないか…と不安な気持ちになってしまいます。
このような漠然とした不安な気持ちを解消させるためには、
痛みが発生する原因とその対処法を知っておくことです。
それらを知っているだけで、何かあった時の安心材料になります。
この先どうなるのか…という不安・ストレスを抱えていると改善が遅れやすいです。
一方で、安心材料を持っていると、不安やストレスはゼロにはなりませんが、
あきらかに少ないので、精神状態が落ち着いていると改善も早くなるものです。
そのように安定した精神状態を保ち、1日でも痛みを解消できるように
考えられる痛くなる原因と対処法について解説させていただきます。
⭕️上腕二頭筋長頭腱ってどのあたり?
原因等の解説をしていく前に、まずは“上腕二頭筋長頭腱”の場所を把握しておきましょう。
肩の前面やや外側に丸みのある骨の部分があるのですが、その丸みの部分を
外側から内側へなぞっていくと、若干凹む部分があります。その辺りが上腕二頭筋長頭腱です。
※下の画像をご覧ください ↓↓

赤の部分が筋肉で、白くなっている部分が“腱”です。
腱の両サイドに骨の膨らみが見えると思いますが、日常生活の繰り返しの動作により
その膨らみの部分と腱で摩擦が起こります。それにより炎症が起きるということです。
⭕️上腕二頭筋長頭腱炎になってしまう原因

ここからは、なぜそのように摩擦による炎症が引き起こされるのか、
考えられる原因を3つご紹介します。
①オーバーユース(使いすぎ)
掃除機をかける、洗濯物を干す、部屋の片付けをする、荷物を運ぶ、子どもを抱く
仕事での繰り返しの作業、重い荷物の運搬、など日常で当たり前のようにしている
動作の繰り返しにより、筋肉に少しずつ疲労が蓄積されていきます。
体を動かすということは、筋肉が伸びたり縮んだりを繰り返しが行われているのですが
この繰り返しの伸縮の際に、先ほど見ていただいた画像の長頭腱の両サイドにある
骨の膨らみの部分との摩擦が起こります。
どのタイミングで炎症が起きるのかは、摩擦の程度や、動作の頻度などによって変わりますが
使いすぎにより痛くなる仕組みはこのようになっています。
②姿勢の悪さ
姿勢が悪くなることで炎症が起きるというわけではないのですが、姿勢の悪い習慣があると
身体のバランスが崩れます。いわゆる身体の歪みですね。
例えば、
巻き肩になっていると、長頭腱と骨の膨らみの部分の摩擦が起こりやすくなるので
繰り返し動作を行うことで炎症が起きやすくなる、だとか
首や背中が丸くなった姿勢だと、肩前面や胸の筋肉が縮こまった状態になり
常に緊張している状態になるので、その状態で繰り返しの動作をしていると炎症が起きます。
③動作をする時の腕の使い方
オーバーユースの説明をさせていただきましたが、同じように繰り返し動かしていても
痛くなる人と痛くならない人が出てきます。その違いはいったい何なのでしょうか。
細かく言えば、体質の違いもあるし、食生活、睡眠時間などの生活習慣、
休養の取り方、過度のストレス、運動習慣の有無など、挙げればたくさんあります。
これらを気を付けていただくのは予防をする上で大事なことですが、
それよりも、改善すべき大事なポイントが『腕(身体)の使い方』です。
たとえば、床に置いてあるカバンなどの荷物を持ち上げる時に、指先の方に力を入れて
持つのか「手全体」を使って持つのかで、筋肉にかかる負担が違ってきます。
「手全体」で物を掴んで持ち上げた方が、上腕二頭筋への負担は軽くなります。
他には重たい荷物や子どもを抱え上げようとする時に、腕の力で持ち上げようとするのか
腰から下、下半身を使って持ち上げようとするのかで、かかる負担も違ってきます。
腰や下半身を使って持ち上げる方が上腕二頭筋への負担は軽くなります。
このように、日常の何気ない動作の中で、負担が蓄積されやすい使い方をしている
可能性があるので、
物を持つときは指先だけでなく、手全体で掴む!
重い物を持ち上げるときは腕だけではなく腰下半身を使って持ち上げる!
この意識を持っていただくだけで、長頭腱での摩擦・炎症を軽減させることができます。
⭕️上腕二頭筋長頭腱付近に痛みを感じたときの対処法
原因がわかったところで、ここからは対処法をご紹介します。
それと併せて、早く治っていくために気を付けるべきこともご紹介します。
《気を付けるべきこと》
▶︎痛いところを押さない・揉まない
→痛みのある箇所は腱の炎症が起きています。良かれと思って痛みのある箇所を押したり
揉んだりすると、炎症をさらに悪化させてしまい治りを遅らせる原因になりかねません。
▶︎痛みを堪えてまでストレッチをしない
→先ほどの痛みの箇所を押さえるのと同様に、痛みのある箇所に対しストレッチをかけ
強い刺激を与えることは避けてください。腱と骨の摩擦により組織が損傷することで
腱に炎症が起きています。改善のために刺激の強いストレッチをしてしまうと
損傷した箇所の傷口が広がり悪化させてしまう危険性があります。
痛みを伴わないような軽い刺激のストレッチであれば、その危険性は比較的小さいですが
そのあたりの加減は難しいと思うので、この筋肉のストレッチをあえてする必要はありません。
【対処法】
①首〜鎖骨に付いている首前面の筋肉のストレッチ
→デスクワークや下を向いた体勢での作業が多い方、背中や腰を丸めた姿勢で座る習慣が
ある方は、肩の位置よりも前方に頭が偏位していることが多いです。
その状態が続くと首の前面の筋肉が縮こまり、巻き肩になりやすいです。ですから、
巻き肩を改善する目的で、首〜鎖骨に付いている筋肉のストレッチをおすすめします。
②胸の筋肉のストレッチ
→①のストレッチと同様で、デスクワークの多い人、丸い姿勢がクセになっている人など
背中が丸くなっている時間が長い人は、胸の辺りの筋肉も縮まり固くなります。
姿勢改善を目的とした胸〜肩の付け根(前面の筋肉)を伸ばしてほぐすことで
上腕二頭筋長頭腱と骨との摩擦を軽減され改善しやすくなります。
③前腕や手の平、指の筋肉のストレッチ
→あまり関係なさそうな箇所ですが、この辺りの筋肉が硬くなるこがきっかけとなり
上腕や首あたりの筋肉が緊張し巻き肩などになるケースも考えられます。
家事や仕事などで、細かい作業をすることが多かったり、パソコンやスマホを使う
ことが多かったりすると、このあたりの筋肉が硬くなっていることが多いので、
普段から、家事や仕事などの合間に、
肘を伸ばした状態で、指や手首を反らしたりして“指・手の平・前腕”の筋肉の
ストレッチをしておくことで、改善を促進することができます。
⭕️さいごに
肩周辺に痛みを感じると、まず「四十肩・五十肩」を頭に思い浮かべる方が多いのでは
ないかと思います。
「四十肩・五十肩」は、酷い状態だと、少し腕を動かしたりするだけでも激痛が走り
日常生活に大きく支障をきたすことがあります。
今回、ご紹介させていただいた【上腕二頭筋長頭腱炎】という疾患ですが、
実は、痛みに対する施術やケアをしないでいると、どんどん悪化していき
将来的に「四十肩・五十肩」になる危険性が高くなると考えられます。
今回のブログを読んでいただき、痛くなるまでのメカニズム、痛めやすい身体の使い方
痛くなりにくくする身体の使い方、対処法などを知っていただくことで、
未然に防げるようになりますし、現在痛みを感じていたとしても、痛みに対する
適切な対策ができるので、悪化していくのではないかという不安も軽減できます。
肩の前面に痛みや違和感を感じており、日常生活に少しでも支障があり
困っていたり、不安になっている方は今回の対処法を実践してみてください。
筋肉や腱の炎症ですので、ストレッチをしたから、姿勢を改善したからといって
すぐに改善することはありませんが、一定期間続けていただくことで改善を
少しでも早められることはできますので、それを楽しみにしていただき頑張って
みてください。
それでも、改善が見られなかったり、以前よりも痛みが悪化してしまったり、
別の箇所にも痛みを感じるようなことがあったりする場合は、
お近くの医療機関に相談するか、国家資格を持つ整骨院や鍼灸院などに
相談してみてください。
当院に通える範囲にお住まいの方は、お気軽にご相談いただければ、お話を聞いた上で
原因を探し適切な施術と症状に合わせた対処法をお伝えさせていただくこともできます。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。