寝返りを打つと目が回る?それは「良性発作性頭位めまい症」かもしれません
はじめに
「うわっ!なんか急にグラグラする…」
朝、目が覚めてベッドから起き上がろうとした瞬間、突然世界がぐるぐる回り始める。あるいは、寝返りを打った途端に天井が回転し始めて、思わずベッドにしがみついてしまう。
こんな経験をされた方、実は意外と多いんです。当院にも
「先生、朝起きるのが怖くて…」
「寝返りができなくて、夜中に何度も目が覚めるんです」
といった相談をよくいただきます。
この症状、実は「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」という、耳の奥で起こっている現象かもしれません。
「良性発作性…?」と思われるかもしれませんが、「良性」という言葉が入っているように、命に関わるような怖い病気ではありません。でも、いきなりめまいが起こると本当に不安になりますよね。実際、このめまいのせいで外出を控えるようになったり、階段を上るのが怖くなったりする方もいらっしゃいます。
でも大丈夫です。正しく理解して、適切に対処すれば、きっと普通の生活を取り戻せますよ。
耳の奥で何が起こっているの?
「なんで急にめまいが?」って思いますよね。実はこれ、耳の奥にある小さな石『耳石』が関係しているんです。
私たちの耳って、音を聞くだけじゃなくて、体のバランスを保つ役割もしているってご存知でしたか?
耳の一番奥、「内耳」という部分に、体の傾きや動きを感じ取る精密なセンサーがあるんです。
そのセンサーの一つに「耳石器」というものがあって、ここには「耳石」という小さなカルシウムの粒がたくさん入っています。この耳石、普段は重力を感じて「あ、今体が右に傾いてるな」とか「前に倒れそうになってるな」って脳に教えてくれる、とても大切な働きをしているんです。
ところが、何かのきっかけでこの耳石がポロっと剥がれ落ちて、隣にある「三半規管」という管の中に迷い込んでしまうことがあります。三半規管は本来、体がくるくる回った時に「今回転してるよ!」って教えてくれる場所。でも、そこに耳石が入り込むと…
頭を動かしただけで「うわー!回ってる回ってる!」って間違った信号を脳に送っちゃうんですね。実際は回転なんてしていないのに、脳は「えっ、今すごい勢いで回転してる!」って勘違いしてしまいます。これがグルグルめまいの正体です。
どんな時にめまいが起こるの?
BPPVのめまいには、はっきりとした特徴があります。
まず、めまいは長時間続きません。「もうダメだ」って思っても、だいたい数秒から長くても数分くらいでおさまります。ただ、その短時間がものすごく強烈なので、「ずっとこのままの状態が続くの?」と不安になってしまいます。
そして、必ず「頭を動かした時」に起こります。じっと座っている時や立っている時は平気なのに、特定の動作をした瞬間に「うわっ!」となり。グルグルとめまいが起きるのが特徴です。
【以下のようなケースで起こることが多いです】
– 朝、目が覚めて起き上がろうとした時
– 夜中、寝返りを打った瞬間
– 咄嗟に見上げた時
– 落とした物を拾おうとしゃがんだ時
– 美容院でシャンプーしてもらう時
– 歯磨きで下を向いた時
患者さんからは「もう美容院に行けない」「洗面台で顔を洗うのが怖い」なんて話もよく聞きます。生活にすごく影響しますよね。
めまいと一緒に気持ち悪くなったり、吐いてしまったりすることもあります。でも、良性発作性頭位めまい症(BPPV)の場合は「耳鳴りがする」「聞こえが悪くなった」「手足がしびれる」「頭が痛い」といった症状は普通ありません。もしこういう症状も一緒にある場合は、違う病気の可能性もあるので、必ずお医者さんに相談してくださいね。
なんで耳石が落ちてしまうの?
▪️直接的なきっかけとしては
– 頭をぶつけた(転んだ、事故にあった等)
– 手術で長い間同じ姿勢で寝ていた
– デスクワークで一日中同じ姿勢
– 激しいスポーツでの衝撃
以上のようのケースが考えられるのですが、、
実は、これといった明確なきっかけがない場合も多いんです。
▪️実は関係している要因
年齢:50歳を過ぎると、どうしても耳石も年を取って、剥がれやすくなってしまいます。「歳のせいか…」とがっかりされる方もいますが、年齢を重ねることで起こりやすくなるのは自然なことなんです。
性別:特に閉経後の女性に多いんです。これは骨粗しょう症とも関係があるかもしれません。カルシウムの代謝が変わることで、耳石にも影響が出るのかもしれませんね。
運動不足:「あまり頭を動かさない生活」も実は要注意。頭をいろんな方向に動かすことが少ないと、耳石が落ちやすくなったり、落ちた耳石が元の場所に戻りにくくなったりするんです。
きっかけ整体院ができること
「整体でめまいは治るんですか?」とよく聞かれますが、正直にお答えします。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)は耳石の問題なので、まずは耳鼻科の先生にしっかり診てもらうことが一番大切です。お医者さんには「頭位治療」という特別な治療法があって、落ちた耳石を元の場所に戻すテクニックがあるんです。エプリー法とかブラント・ダロフ法とか、専門的な方法が効果的です。
お薬でめまいや吐き気を抑えることもできます。
では、整体院では、どのようなことができるのか。
※予防と再発防止のサポート
首や肩がガチガチに固まっていると、頭を自由に動かせなくなって、それが耳石にも悪い影響を与える可能性があります。また、めまいの不安で体がこわばって、それがまた首肩の緊張を生む…という悪いサイクルに入ってしまうことも。
施術で首や肩の緊張をほぐして、頭を楽に動かせる状態にしておくことは、とても大切だと思います。
それから、長時間のデスクワークなどで同じ姿勢を続けることがリスクの一つでもあるので、姿勢を整えて、頭を自然に動かしやすい体の状態を作ることも重要です。
きっかけ整体院ができるサポートとして…
①首や肩の筋肉の緊張を緩める
②頚椎(首の骨)の関節の狭くなっている箇所などの歪みの改善
※自宅で出来る「めまい体操」
病院で教えてもらった体操を、家でも続けることがすごく大事なんです。でも「一人でやるのは不安」「やり方があってるかわからない」という方も多いので、そういう時は一緒に確認させてもらったりします。
基本的には:
– 枕を少し高めにして寝る
– ゆっくりとした寝返りの練習
– 急に頭を動かさず、ゆっくり動かす習慣
– 怖がらずに、少しずつ頭を動かす練習
ここで大事なのは「めまいが怖いから動かない」じゃなくて、「少しずつでも動かしていく」ことなんです。じっとしすぎると、かえって治りが遅くなってしまうことがあります。
もちろん、無理は禁物です。必ずお医者さんの指導に従って無理のない範囲で行ってください。
毎日の生活で気をつけること
朝起きる時:勢いよく起きるんじゃなくて、まずベッドの端に座って、少し待ってから立ち上がる。これだけでも随分違います。
夜の過ごし方:十分な睡眠と、規則正しい生活リズム。疲れすぎるとめまいも起こりやすくなります。
適度な運動:全身の血流を良くしておくことは、耳の健康にも大切です。激しい運動じゃなくても、散歩程度で十分ですよ。
ストレス管理:「まためまいが起こったらどうしよう」という不安そのものが、体を緊張させてしまいます。リラックスできる時間も大切にしてくださいね。

さいごに
良性発作性頭位めまい症(BPPV)は確かにびっくりする症状ですが、決して治らない病気ではありません。正しい知識を持って、適切に対処すれば、また普通の生活を送れるようになります。
めまいの原因はいろいろあるので、まずは専門の先生にしっかり診てもらうことが何より大切です。その上で、きっかけ整体院では、皆さんが安心して毎日を過ごせるよう、体のケアと心のサポートをさせていただきます。
「こんなこと相談していいのかな?」なんて遠慮しないでくださいね。めまいのこと、体の不調のこと、なんでもお気軽にお話しください。一人で不安を抱え込まないで、一緒に解決していきましょう。


